AICEの目指す社会

はじめに

世界的な地球環境問題から世界各国・地域で燃費規制・排出ガス規制が年々強化されてきました。
これまで、自動車や産業機械のパワーソースとして用いられてきた内燃機関は、その誕生からこれまで燃費性能、排出ガス性能は飛躍的に改善され、確固たる地位を築き上げてきました。
更に、近年の異常気象による災害の増加により、脱炭素社会の実現は、今や世界中の共通の目標となり、その実現は急務となっています。

内燃機関を取り巻く各国の情勢

現在、世界中の多くの国や地域、企業で、カーボンニュートラルやゼロエミッションを実現するための取り組みが進んでいます。例えば、欧州各国においては、2025年以降、ガソリンやディーゼルエンジンを搭載した自動車の販売禁止を宣言しています。また、世界の自動車会社は、電気自動車(BEV)の台数比率を飛躍的に増加させる計画を次々に発表しています。
また、自動車の技術分野においても、電動化や自動運転など新たな領域への挑戦が急速に加速しています。現在の自動車のトレンドである4つのキーワード、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(カーシェアリング)Electric(電動化)の頭文字を取った【CASE】は、自動車の未来を大きく変えていく象徴となり、「100年に一度」と言われる大変革の時代を迎えています。

AICEの目指す社会

AICEの目指す社会

このようにゼロエミッション社会に向けて世界が動き出している状況の中で、将来的には、電気自動車が主流となり、「内燃機関には未来は無い」と言われています。
IEAの将来のパワーソース予測を見ると、2050年時点で、電気自動車やハイブリッド車といった電動車は全体の70%以上を占める一方で、内燃機関を用いている車も、同じように70%以上を占めています。しかし、この予測は地球温暖化を進行させないための最低限の進化の予測であり、既に、自動車会社の中には、2050年までにカーボンニュートラルの実現を宣言しているところも出てきています。
このような状況の中、今や、生活基盤となった自動車を安定的に社会へ供給し続けるためには、これらのパワーソースを全てカーボンニュートラルへ導く必要があると考えています。 これまで100年以上に渡り、自動車や産業機械の主流のパワーソースとして活躍してきた内燃機関を、社会にとって有益なパワーソースとして永続的に提供することを目指しています。そのためには、ゼロエミッションを実現できるかが大きな鍵となると考えています。

AICEの役割

AICEの役割

現在AICEでは、「地球にやさしい内燃機関  究極の熱効率、ゼロエミッションに向かって」をスローガンに基礎応用研究を推進しています。現在の目標は、2030年時点に経済産業省の定める日本の電気自動車のWell to Wheel CO2(2010年のガソリンに対して30%)のレベル以下を目指しています。さらに、私たちAICEは、「CASE」との融合により、内燃機関の進化を加速し、2050年にWell to Wheel CO2ゼロの実現のため、新たな将来の研究計画の策定に入りました。私たちの目指す2050年ゼロエミッション社会の実現には、エンジンからの排出のみならず、「製造過程の低炭素化」や「エネルギー源の脱炭素化」などライフサイクルでの検討も必要です。更には、今後も化石燃料が使われていくことを想定すれば、将来的にはCO2の回収、再利用などの新たな分野についても、AICEの研究課題として取り組む準備をしていく事も必要と考えています。これらの新たな研究課題も含め、自動車、産業機械、農耕機などのパワーソースが、それぞれの市場の中で、2050年にゼロエミッションを実現するため、将来への道筋として研究のロードマップを策定しています。

AICEは、ゼロエミッション社会の実現に向けて、産官学連携によるオープンイノベーションを積極的に推進しながら、これまでの研究分野における技術革新、更に他分野との連携による新たな研究を積極的に行い、ゼロエミッション社会の実現に向けて業界をリードしていきます。
そして、日本の産業界及び大学がこの100年に一度の大変革時代を乗り切り、世界をリードする技術力と技術者の育成に貢献していきます。

自動車用内燃機関技術研究組合 運営委員会
委員長 木村 修二